ディネーセンの「アフリカの日々 」と共に、アフリカへ旅立つ頃に読んでいた本がエイモス・チュツオーラの、あの奇想天外な「やし酒飲み (晶文社クラシックス)」だった。あのアフリカを舞台に不気味で錯乱系の世界を描き出す著者が「My Life in the Bush of Ghosts(邦題:ブッシュ・オブ・ゴースツ )」という本を出版していた。ワシとしたことが読んでない!!ブライアン・イーノとトーキング・ヘッズのデビッド・バーンは、この本からのインスピレーションで(といいつつも2人は実際音楽の作成前に本は読まなかったそうだ(笑))、同名のこのアルバムを作ったそうである。 アマゾンの説明より:
Amazon.co.jp ブライアン・イーノとデヴィッド・バーンの『My Life in the Bush of Ghosts』は完全な幻想だ。「作り込んだ」ヴォーカル、カット&ペーストのアレンジ、ファンクのリズムと世界のあらゆるものから受けた影響を包括し、この2人の物議をかもす作品は、現代のダンス・ミュージック、ワールド・ミュージック、ヒップホップ、オルタナティヴ・ロックの創造的な相互交換作用と技術的な革新を予言した。『My Life in the Bush of Ghosts』のこだまはビンテージのヴォーカル・サンプルで作ったモービーのアンセムにも、ミッシー・エリオットとティンバランドの抜群にエキゾチックなビートにも、シェーヴリー・コーポレーションの中東のアクセントが効いたチルアウトな曲にも、ビョークの超自然的な音景にも聞こえている。
で、イーノとデビッド・バーンは、このアルバムから2曲をクリエイティブ・コモンズの下にてマルチトラックで音源を公開、ダウンロードできるようになっているウエブサイトを公開しています。トラックを好きなだけダウンロードして組み直し、オリジナルを加えたりして独自のMy life in the Bush of Ghostsが創れる!!!という音楽をやるファンには鼻水が垂れてくるほど嬉しい試み。この手のものに興味のある方は是非試してみてください。完成品がアップロードされているので、みんなの作品を楽しむことができます。Bushというのにひっかけて、某国の大統領のスピーチなんかもサンプリングして音楽してる人もいて面白いです(^^)こちらです→My Life in the Bush of Ghosts
Here we are Stuck by this river, You and I Underneath a sky that's ever falling down, down, down Ever falling down.
Through the day As if on an ocean Waiting here, Always failing to remember why we came, came, came: I wonder why we came.
You talk to me as if from a distance And I reply With impressions chosen from another time, time, time, From another time.
たまに引っ張り出してきて聴いては悶えてしまうEnoのBefore and After Science(レコードのB面がたまらん)の一番のお気に入りの曲、By this River. ミニマル。なんの飾りもない音、淡々とした歌。ジワーっと心の奥に触れてくる。この曲に出会ったのはもう30年も前。今でも全く色褪せることなく。
Danger Moneyは出だしがやたら大げさでカッコ良すぎ。途中のキーボードをバックにベースがメロディをとる部分、あれ、これKing Crimson??これってRed?って感じの箇所が。次の曲のRendezvous 6:02は、恐れ多くも自分で弾いてやろうと必死こいて耳コピーした曲です。バンドでもやりたかったのだが却下されました。ま、実現したとしても「ふざけんな」で終わっただろうけど。ピアノが美しいんです。本気でヤマハのCP系のピアノ欲しかったっす。これも変拍子だけど、ピアノが美しく流れているので安心して聴いてられます。The Only Thing She Needs、これが傑作。ドラムの音が歌いまくり。変則リズムにインスト部分は全く息付くヒマなしで、つい耳を澄ませてしまうわしは肩こります(笑)でもこれぞプログレの醍醐味!2曲飛ばして(←ゴミ曲ではないですよ)最後の曲も見事な作品で、Carrying No Crossはプログレらしい大作です。UKはプログレといっても、よくある幻想的な雰囲気を持ち合わせておらんので、これはUKらしくない、と言ってもいいかも。でもわしは大好きです。てか、Redの軽量版って気がするのはわしだけ? 全体的に歌と歌の合間の間奏っちゅーのか、プログレの場合、そこが主役だと思うんだけど、どの曲もめちゃカッコいいんですな。「うーーん、うまい!(T▽T)」と泣けてきてしまうような。
5曲目のシングルになりそうな聴きやすいNothing to Loose。なんだかモザイクがかったビデオで貴公子Eddie Jobsonを目を細め見ちょりました。バイオリンかっこいい。このアルバムでギタリストを失ったのだがまったく損失ないよね。(ちなみにわしは二人とも愛してたのだが、エディは王子様、ジョンウエットンは夫としておりました)
オマケにUKのファーストのときの4人の顔ぶれでのライブ。In the Dead of Night。いいよな、ファーストも。最初の3曲がたまらん。この曲も7拍子か?の変拍子で開始で、ついテンポを数えてしまう自分が(笑)Danger Moneyの1年前で、ビル・ブラッフォードもアラン・ホールズワースも辞めるのが決っていたのか、なんだか二人とも力が籠ってない。ちなみにわし、キングクリムゾンがディシプリンで来日したとき、ビル・ブラッフォードに会ってサインもらった!
"So if you you feel a little glum, To Hergest Ridge you should come. In summer, winter, rain or sun, It's good to be on horseback. Hey and away we go Through the grass, across the snow Big brown beastie, big brown face I'd rather be with you than flying through space"
Arvo Part, Philip Glassと、ウラディーミル・マルティノフ(←スペルできない。このCDを聴くまで名前を聞いたことがない作曲家であった)ちゅー3人の現代音楽家の曲を、 Gidon Kremer がヤっています。わしはバッハなんかもクレーメルがすきだったりするのだが、こういう静かで精密な曲をやらせても、存分に実力発揮してくれるよなあ。温度的には研澄まされていてちょっと冷たい感じで、とっても空間的っす。瞑想にも良し。しかし、PartのTabula Rasaはめちゃくちゃ美しいなあ(T▽T)
Brian EnoのAnother Green World。自分の音楽体験の中での、これが大きな大きな転機になった1枚だと思う。このアルバムまでのわたしは、ポピュラー系なクラシックを経て、BCRの爆発的人気に乗ってタータンチェックを着たミーハー一直線な少女でしたっす(笑)当時はBCRの音楽はほんとに好きだったが、なんといっても重要なのは「見かけ」!(って今思えば、たいしたルックスではなかった(笑)>BCR)その勢いで、ロックショウなどのミーハー系ロック雑誌を愛読し、そこで知った「japan」というバンドに惚れ込んだ。で、美しきデビッド・シルビアンが影響を受けたミュージシャンとして名前をあげていた一人に「Brian Eno」の名前があったのだな。好きな人のことは徹底的に調べにゃならん。(笑)当時はネットなどという便利なものがあったワケでもなく、自分なりにEnoについていろいろ調べ、そして初めて手にしたレコードが「アナザー・グリーン・ワールド」だったのね。中学3年生でした。(同時に「Robert Fripp」の名前もリストにあって、わたしがプログレへ傾倒するキッカケにもなったのであった)ワクワクしながら古いレコードプレイヤーの針を落としてみると、最初に鳴った音が「Sky Saw」だ(爆笑)わたしは驚いてぶっ飛んだ(笑)途中からは思いっきり不協和音の歌まで入ってくるし、うわ〜〜〜こりゃ聞いてられん!と、思わず針を元に戻してしまったわよ。(Sky Sawのスゴさはその後しばらくしてからわかったのであった。この曲はその後Music for FilmsのA Measured Roomになる)Sky Sawを聞いてみたい人はこちら。キャーキャーと叫べないロックスターを好きになったことがなかった15歳にとっては、当然といえば当然の反応....。中学生のわたしにはレコード一枚というのは大変な出費であるので、古レコード屋へ持っていく前に一度は最後まで聴かにゃならんと思い、もう一度かけてみた。恐怖の一曲目が終わると、アルバムは別の表情をみせはじめ、わたしはすっかり「Another Green World」の虜になったのであった。今思えば、Enoの環境音楽の始まりを予感させる、大きな転機の一枚だったんだよね。(コレの前まではバリバリのRoxy Music路線)数曲のヴォーカル(力の抜けた柔らかな暖かい歌声である)曲も含め、まるで万華鏡のような小作品たちが、夢見る少女(?!)の想像力をかき立て、空想の世界に誘うのに最高だった。そういえば、19歳で初めてアフリカ旅行をしたとき、カイロに向かう途中で一度降りたバーレーンで、このアルバムをウオークマンで聴いていた。ペルシャ湾に浮かぶ船の灯りや町の小さな灯たちがユラユラと揺れて、ちょうどその時にかかってた「The Big Ship」のゆったりと滑るようなフリップの音と、後半部でチラチラと忙しく鳴る音が抜群に風景と溶合ってたっけ。生まれて初めて、たった一人で外国にいて、ワクワクするような嬉しい孤独の中にいたという特別な環境が重なったこともあるけど、音楽を聴いていて涙が出てくるという瞬間はこういう時であるのよね。 映像はアレだけど、BigShipの音はこちらで楽しめます。↓
ところでこのアルバムは参加ミュージシャンもスゴイっす。まずはギターのRobert Fripp。キングクリムゾンでお馴染みのディストーションでず〜〜〜〜っと引っ張る音はSt.Elmo's Fireでピカ1!ベースのPercy Jonesの音は、ただのベース音ではない。「sky saw」ではまるで生き物のように、それから「over fire island」ではベースが1曲の全ての風景を作り出してしまうスゴさ。 その後の環境音楽では難解なものや、ちゃんと聴いてらんないものもたくさん出てくるのだが(まあ環境音楽は「流す」ものであってジックリと「聴く」もんじゃないけどね)、Another Green World はまだ聴きやすいね。新しい方向に動き出したEnoの第一作ともいえる貴重な名盤っす。
Brian EnoのCDには大好きなものがいっぱいあるけど、これが出会いということで「Another Green World」はわたしには特別な存在なのでしたー。
というわけで、ものすごい久しぶりにこのジュリー・クルーズの「Floating into the Night 」を聴いたのだが、こりゃエエのう。それぞれのテーマの部分だけに薄明かりが差していて、他はどこまでも深い暗闇。夢と現実の境目をフワフワと彷徨う。夢は悪夢だったり儚い喜びだったり。まさにデビッド・リンチの世界そのものを音楽にしたものって感じだわね。ジュリー・クルーズの歌っちゅーのは決してウマイもんではない。しかし、この音楽に関してはウマイヘタはいっさい関係なく、彼女の雰囲気が全て。あの暗闇の音楽に微かな光を灯す儚くも透明な蛍の灯のような声で、聴く人の心を打つのであった。昔のCDを引っ張り出してたまに聴くのもいいもんだね。